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子育て支援がライフワーク

勝田郡奈義町 岸本理香さん

 岸田首相の電撃訪問で話題になった奈義町。
突然の訪問の理由は、異次元の少子化対策に伴う視察だそうだ。その奈義町で、子育て支援をライフワークとして行ってきた女性がいる。
今回紹介する『岸本理香』さんだ。




現在の年齢は50代で、27歳の長女を筆頭に、下は小学生まで4人の子どもがいるママさんだ。
この度勝央町子育て支援スタッフの『谷口さん』に紹介してもらって取材することになった。岸本さんは勝央町の子育て支援スタッフでもある関係からだ。
 出身は、広島県安芸高田市。ご主人と縁あって結婚し、奈義の地に住まう事になった。
他の街から来ての出産と子育てを経験され、元々知り合いのいない場所が、出産や子育てをするのに、いかに大変かを身をもって感じたという。




 その大変さを少しでも多くの人で分かち合おうと、仲間達と立ち上げたのが、『マミィクラブ』『おもちゃ図書館』『子育てサロンつくしんぼ』。
これらの活動をしていく中で、子育て支援施設の設置を要望し、立ち上げにも携わることになった。それが今の「なぎチャイルドホーム」だ。
 現在でも、家族で『なぎの里ふれあい農園』、子育てコミュニティハウス古民家『なぎの里』、子ども達の遊びと暮らしを考える『野の花』等の子育て支援に力を入れている。




古民家『なぎの里』は、元々自宅を解放して子育て広場を開催していた時に、ご主人が知人から古民家を借りてくれたことからスタート。
ご主人に「やりたい事を、ここで思い切ってやってみたら」と後押しされて、決心したという。これにより、活動の幅が画期的に広がった。
『なぎの里』は、親子で楽しく、のんびり過ごせる環境を創り出している。ここでは、主に「遊育」「食育」「花育」3つの“育”を大切に活動を展開し、「なぎの里」からのつながりを大切に、みんなで助け合いながら子育てできたらという。その思いが長年の活動を支えているのだ。




 この施設は、どこからも助成を受けず運営をしているため、運営は苦しいが、自由度が増すというメリットを生かすため、若干の使用料と、農園の農作物を直売した売上だけで、何とか頑張っている。
運営資金は課題ではあるが、こういった民生での子育て支援事業がもっと多くなることが必要なのだそうだ。




行政運営の広場は、幅広く知り合え多様な価値観で交流できるのが利点だが、それが逆に苦手な人もいて、同じ価値観の小さな子育てコミュニティを必要とする人もいるからだ。
長年子育て支援に携わってきて思うことは、行政だからできること、民生だからできることがある。だからこそ連携してお互いの利点を活かした支援が必要で、ママ達が、楽しく子育てしやすくするには、それぞれにあう選択肢が必要だという。




 ここで、余りにも活発すぎて、こんがらがってしまう岸本さんの数多くの活動を整理してみる。

なぎの里ふれあい農園は5年前に、ご主人がJAから転職しスタートした。
れんげ米、菜の花作りのはぜ干し米、黒豆、白ネギ、キャベツ等作って、なぎの里で収穫物を販売したり、親子や保育園等の収穫体験を受け入れ、食育につなげる活動をしている。子連れで遊びに行け、気兼ねなくランチやカフェがしたい、との声に応え、農園の安心安全な食材、自然素材の調味料を使っての農園ランチなども開く。中でも完全予約制で、れんげ米の米粉とキャベツ、白ネギで作る農園ならではの自家製お好み焼き屋さん「鉄板焼きたけちゃん」は好評だ。
他にも、昨年の収穫祭イベントにシンガーソングライターを呼び、白ネギ畑と古民家で農園ライブを開催するなど、親子で参加できるイベントや、お花を楽しむアハの会(花育)、子育て座談会、ワークショップ等を開催する。

『アハの会』では、花摘みさんぽや、自由に花を生ける体験を通して、優しさや美しさを感じる気持ちを育むというもの。『子ども達の遊びと暮らしを考える「野の花」』の活動では、「森のようちえん いちにのおさんぽ会」、子どもの遊び場「ぴょんきち広場」、良質のおもちゃで遊んで貸し出しを行う「おもちゃ広場」を開催し、ママ達と一緒に運営している。
また、古民家は各種団体やママ達の、やりたいことができる場として、貸出もしている。




民生だからこそ、すぐにニーズに応えられ自由な活動ができるそうだ。
こうして、整理して書き並べても、なお複雑なくらい精力的な活動を行っていることが、よく分かる。




 世間では、異次元の少子化対策とか、子育て支援の充実とか、言われている。
それについては、確かに、そう思う。
他にも、ママさんに直に接して寄り添い続ける、表舞台に現れない活動をしている人が多くいる。これは、今回取材した岸本さんや、今まで取材した谷口さん、林さんに限った話ではないと思う。
そういった活動をする人達を、どのように応援していけるのか。一人一人に突き付けられた課題のように感じる。

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