津山まちの駅城西(旧土居銀行本店)
津山城下町の西部、城西地区の出雲往来沿いに建つレトロな近代的な建物。明治42(1909)年に建築された土居銀行本店、銀行として建てられたものである。今年で築110年を迎えた。
周囲に町家が連なる中、西洋風の建築物がひと際目立つ。木造2階建て、左右対称のルネッサンス式の意匠を要所に取り入れている。2階の折り上げ格子状の天井が特徴的である。
明治42年というと、岡山・津山(現在の津山口駅)間に鉄道が開通してまもない頃、この城西地区が津山の玄関口として大変に賑わっていた頃である。往来する人たちもこの建物の威容にさぞかし目を見張ったことであろう。
実はこの建物、最近まで土居銀行津山本店として大正9(1920)年に建てられたものであるとされていた。だがその年の建築というのは確かな証拠があった訳ではなかった。ところが近年に『明治四十二年四月 土居銀行津山支店新築記念』と明記された写真絵葉書が確認され、またそれを裏付ける山陽新報(山陽新聞の前身)の記事が確認されたことにより、この建物がその年に建築されたものであると立証されたのである。
現在は「津山まちの駅城西」という名で地域の情報発信基地として活用されている。津山の近代的建造物としてこれからも大いに活用して残していってもらいたいものである。
(赤坂 健太郎)