有限会社植木材木店 植木崇雄さん
今回は、真庭市は蒜山にお住いで木材の販売やリフォーム業を営む、植木木材の社長 植木崇雄さんを取材した。
植木さんは、本業以外にも意外な一面がある。
「お休みの時は、何をなさっているのですか?」との問いに「子供と遊ぶか、バレーを教えているかですね」そんな答えが返ってきた。
話を聞くと、自身の出身でもある地元、蒜山中学校バレー部の外部登録コーチをしているのだ。
地元、真庭市の蒜山で大自然の中、中学、高校とバレー部に所属し、充実した学生時代を過ごしていたという。
高校を卒業したのちに、一旦地元を離れ京都に居を移すことになる。
京都では工務店に勤務するなどしながら、休みの日は趣味で中学や高校で親しんだバレーを、「草バレー」として仲間達と楽しんでいたとのこと。
ふるさとの蒜山に帰ってきたのは26歳の頃。
実家の木材店を継ぐことになる。
すると当然のように地域との付き合いも出てくるようになり、様々な会合にも出るようになる。
そんな折、地元の体育協会の会合があった際に、「中学校の子どもらにバレーを教えてやれんか?」と地元の先輩から声を掛けられたという。
色々考えたが、外部登録コーチの話を受けることにしたという。
それが20数年前。
実は、蒜山では外部登録コーチはバレーだけではないそうだ。
サッカー、野球、ソフトボールなど複数の競技で取り入れられているという。
まさに、地域の子どもたちを地域が育てるということを実践していると肌に感じる。
今も男子バレー部の外部登録コーチをしている植木さん。
部活の外部コーチとしての活動は、主に技術指導や練習メニューのアドバイスなど。
仕事の合間に教える感じなので、土日が中心になるという。
現在の蒜山中の男子バレー部は3月時点で9人。
今年は、コロナの関係でまだ新入部員が入っていないので、どれくらいの人数になるか分からないそうだ。
現在の中学のバレーは6人制となっている。
しかし、どこでもこなせるようにレシーブ・トス・ブロック・スパイクなど、オールラウンドに教えているという。
その中から、レシーブなりブロックなり、得意なプレーが出てくるのだそうだ。
そんな植木さんに「バレーを教えていて楽しいことは?」と聞いてみたら即答が帰ってきた。
「こども達って、目に見えて成長していくんですよ」
そして続けて、こう話してくれた。
「家庭菜園をされている方が、日に日に目に見えて大きく成長していく、野菜を見るのが楽しい。と言うのと同じなんだと思いますよ。本当にそれぐらいのスピード感で成長していくんです」
直接指導しての実感だけに言葉に説得力がある。
こども達に、教えるのに気を付けることを聞くと、「まずは、楽しさを教えてあげたい」という言葉が返ってきた。
問題点の改善は後回しなのかを尋ねたところ、楽しいと好きになる。
好きになるともっと上手になりたいと思うようになる。
最初は得意な所を練習するが、それだけでは、上手くいかない。
そして自分で苦手なことも克服していかなければ、上手くなれないことを自分で気付いてくれるのを待つんだという。
自分で気付いて、練習すると一段と習得は早くなるのだそうだ。
しかし、20年前からこの指導方針だったわけではない。
ある時、ネットでGoogle社の3つのPというのを見つけてからだそうだ。
Googleの3つのPとは「Play(行動)」「Passion(情熱)」「Purpose
(目的)」でこの3つが揃わないと成長は鈍るということだそうだ。
こども達が自ら、目的を明確にした上で情熱をもって、練習に励む。それが一番合理的だと感じたそうだ。
また、技術面以外ではも、プレイの僅かな間に何をするべきかを教えているという。
プレイの間に様々な相手の攻撃を予測をして、頭の中でシミュレーションを行うことで、その状況になれば、即座に身体が反応できるようになるということだ。
経験値が上がれば上がるほど、様々な予測が立てられるようになるため、上級生ほど、重要性は高くなってくる。
長く指導してきて、20年前の子どもと比べて今の子どもとの違いについても聞いてみた。今は基礎体力や体感で劣っている。
生活様式の変化が影響しているのだと思う。
しかし、卒業時には20年前と今とで大差はないという。
部活が良い効果を、もたらしているのではないか。
最後にバレーを通して、こども達に伝えたいことは何ですか。との質問を投げかけた。
しばらく時間を置き、「僕らのこども時代と今のこども達と違うところ、例えば一所懸命であったり、全力を出し切る、最後まで諦めない。こども達には、こういったことの重要性を上手く気付いて欲しいです」
『地域の子どもを地域で育てる』言葉では簡単だが、植木さんのような方が、あちらこちらにいて、初めて成立するということだ。