『ろまん亭』と言えば、勝山に行ったことがある皆さんだと、分かるのではないだろうか。
7年前に真庭に移住してきて、幅広く事業展開をしている。
松尾 敏正さん40代半ばの脂ののった働き盛りの世代だ。
真庭で行っている事業は、地域を活性化する事業が中心となる。『株式会社 年貢ーねんぐ』、『株式会社ライフギアプロジェクト』など多数に及ぶ。
移住のきっかけは、以前経営していた会社の上場だ。
大阪で育ち、事業をしていた松尾さんは、飲食店経営を事業の中核としている会社を経営していた。
大阪や東京などの都心部を中心に40を超える直営店を運営するまで成長させた。
しかし、事業規模が大きくなると仕事ばかりに時間を取られ、頭の中まで仕事に占有される状況に。
最も大切な家族の時間を確保できないばかりか、責任としてのしかかるプレッシャーも尋常ではない。
ちょうど、こども達が遊び盛りになる頃が上場と重なったため、思い切って持ち株を売却し、自然の豊かな場所に移住することを計画したという。
その際に、移住の候補は2つあったとのこと。
一つは今移住している真庭、そして、もう一つは石垣島。
結果、石垣島には高校がないなど、こどもの将来を考えたら石垣島は選択肢からは消えた。
また真庭は、松尾さんの親御さんの出身地にもあたり、幼い頃は盆暮れには何度も滞在していたそうだ。
そこも真庭移住に後押しになったという。
「田舎の良さは?」と投げかけたところ、「住んでる人が多い分、人と出会う機会は都会の方が多いけど、実は深く付き合える人と出会えるのは圧倒的に田舎の方が多いんですよ」と語ってくれた。
他にも、都会の24時間営業の店が多く集まる都市部とは異なり、夜は店が早く閉まるが、これはかえって、いいことだという。
夜早く寝て、朝日が昇る時に目覚める。生活リズムが自然と一体になり、健康そのものだとのこと。
また、四季が生活の中で感じられるのもメリットだと。
都会に住めば、春の草花、初夏の新緑、盛夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色など、わざわざ出かけなければ感じられるものではない。
それが、この真庭では身近にあるのだ。元々田舎に住んでる人から比べると普通のことの様だが、都会からの移住者にすると、いつもが新鮮で感動を肌で味わえる。
今だと、新型コロナの問題が席巻しているが、田舎に居ると密になること自体がなかなかない。
「これもメリットになるのかな」といって笑ってくれた。
「逆に田舎で、困ったことや戸惑ったことは?」との質問に、「移住当初は、虫が多いのが、今となっては慣れもあって、気にしなくなったのですが、カメムシやムカデなどの害虫に」
田舎暮らしを続けていると、虫との共存も自然の醍醐味だと感じるようになった。
今では、年間2~3回は家族旅行に行ける時間も取れているという。
家族があって会社がある。
その会社も今は、自分の中では、従業員の雇用と社会(地域)貢献にならないと、ダメとのルールの中で経営しているという。
土日に、蒜山まで出かけ乗馬をするこどもを見たり、思い付きで自身の経営するキャンプ場で家族で食事をしたり。
毎日家族との思い出を作っているとのこと。
最後に、「真庭への移住を満喫しています」とにこやかに語ってくれた。