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猫多川賞受賞作家マタタビニャンキチ先生物語 第一章 裏切り者はJAZZBARにいる――(中編)

2019年07月15日

マスターは、クスリとまた爽やかなアルカイック・スマイルを浮かべ、「ニャンキチさんにも、早く素敵な人ができるといいですね……」
そう言うと、ゆっくりバーカウンターの奥へ戻り、オーダーのカクテルをつくりはじめる。

今夜は、小生が大阪に住んでいた頃からの親友でSEをしている大阪在住の若林良和こと『わっちゃん』に助けを求めて、神戸出身で津山市に住みながら、東京のMen`s雑誌の編集長もこなしているスーパーウーマンの浅原涼華(あさはらりょうか)さんを紹介して頂いていたのだ――

カラン、コロン、カラン。

BARの扉に裏側につるしてある美しい金色の大きな鈴が店内に響いた。

一人の女性が入口のところで立ち止まり、辺りをキョロキョロと眺めている。
すらりとしたスタイルで明るい色のスーツを着こなしたその女性は、切れ長な大きな目に長い黒髪が印象的な美人で、振り向いた男達の視線を独り占めしている。

それほどの麗しく知的なオーラを醸し出している女性が……
浅原涼華さんだった――

一見しただけだが、わっちゃんが紹介してた女性はこの方だろう、とすぐにピンときた。
小生は、失礼にもスタスタと駈け寄り、少しだけカッコつけながら声をかけた。
「浅原涼華さんですか?」
すると浅原さんは、はにかみながら答えた。
「はい。浅原涼華です。貴方が噂のマタタビニャンキチ先生ですか?」
「う……噂の!?」
小生は、ビックリして、慄(おのの)いた……
「立ち話もなんですから。一緒に座ってお話しましょう。なんでも、サスペンスのトリックが考えつかなくて、悩んでいるそうで……」
彼女の方から、小生に席を進めてくれた。

彼女と隣り合って席に座ると、マスターに席払いの合図を送る。

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