アットタウンWEBマガジン

短歌への誘ひ

2020年02月18日

紡がむと言の葉指に数ふ習性(くせ)梅花のたより届けばふとも/澤井悠紀子
●短歌を作る習性。つい思わず指を折り五七五七七の調べに言葉紡ぎが始まる

三日月と一番星のランデブーやがて始まる星星(ほし)のささやき/岸元 弘子
●ロマンチックな作者。短歌を始めると自然現象や天体までも恋を語りだす

煮え滾る核融合の六千度雲を血染めて生まるる来光/白井 真澄
●同じ天体でも男性は太陽を科学的に表現する。なるほど初日の出も核融合だ

温かき布団の中の我ひとり胎児のポーズで亡母(はは)に包まる/佐藤あかり
●昨年母親を亡くされた作者。寂しい時は胎児のようにお母さんのお腹に戻る


数ヶ月「短歌への誘い」を執筆させて頂いた。

先日も「アットタウンのあのページ楽しみに見ているよ」と、街で出会った人から声を掛けられ嬉しかった。
この企画もこの号限りとか、残念だが又のご縁に期待したいと思っている。
一首目は、歌人の性。

季節の移ろいについ指折りながら言葉を紡いでしまうのだ。
二首目は黄昏時の三日月と金星に自分の思いを託し、やがて夜の帷に星たちの恋の囁きが始まると詠んでいる。

短歌の基本は相聞歌、恋人たちの歌である。
三首目は津山で数少ない男性歌人。

右の女性の歌と対比させてみた。夜と朝、月と太陽。

男歌は荒々しいが漲る力強さが魅力。ご来光に今年の幸多かれと。
四首目は思慕の念を歌う。

人は皆必ず胎児であったはず。

お母さんの羊水に守られていたひと時を誰もが経験している。

だから海の音が恋しいとも聞く。


令和 二年 二月 三日
あさかげ短歌会    代表  矢野 康史




●今月の短歌
戯(たはむ)れに
 童歌(わらべうた)など
口遊(くちずさ)む
 あなたが欲しい
  花いちもんめ


矢野 康史

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