女は鬼のように「ニヤリ」と微笑み、長く険しい道のりを急いで家まで戻りました。
早速その夜から、今までと見違えるほどの豪勢なご馳走をつくり、毎日すこしづつ白い毒を娘に気づかれないように混ぜるのでした。
そしてひと冬を超え、また次の冬も超えて、毒がほとんどなくなりかけたある秋の日、その女が「シクシク」と嗚咽(おえつ)しながら、仙人のもとをまた訪ねました。
「仙人さま。今はあの子が私に懐いてきて可愛いくて可愛いくて仕方がないのです。
どうにかして、あの子が死なずにすむ方法はないのでしょうか?」
そう言うと女は仙人の足元に泣きくずれてしまいました。
「なーに。あれは、ただの塩じゃよ。 これからも親子3人で仲良くたっしゃに暮らすことじゃな」
と仙人は女に答えました。
仙人は本当にでーれー贈り物をくれたものです。
それを聴いた女は、大号泣して本当の幸せを噛みしめるのでした……
めでたし、めでたし…… 。
仙人からのでーれー贈り物(後編)
2019年06月30日